海外のオフィスデザインに見る発想のヒントと、日本企業が取り入れるときの考え方
「オフィスデザイン 海外」と検索する方の中には、海外で話題になっているオフィスの事例や発想を知り、自社のオフィスづくりのインスピレーションやアイデアにしたいと考えている方が多いのではないでしょうか。紹介記事の写真を見るだけでは、なぜその設計になっているのかという考え方の部分や、日本の中小企業がそのまま取り入れてよいのかという判断が難しいこともあります。この記事では、海外のオフィスデザインが参考にされる理由、よく見られる3つの発想、世界的に知られる企業のオフィスに共通する特徴、日本のオフィスに取り入れるときの注意点までを整理してご紹介します。オフィス移転・内装・家具をワンストップで支援するJOY Worksがご案内します。
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海外のオフィスデザインが参考にされる理由

欧米、特にアメリカのテクノロジー企業を中心に、オフィスは机と椅子を並べるだけの場所ではなく、従業員が柔軟に働ける、生産性や創造性、クリエイティブな発想を高めるための空間として設計する考え方が早くから広がり、進化を続けてきました。日本でも出社とリモートワークを組み合わせた働き方が定着してきたことで、海外の先進的な発想が参考にされる機会が増えています。
働き方の変化に合わせた空間づくりが先行している
固定席を前提にしないフリーアドレスや、業務内容に応じて働く場所を選ぶABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)といった考え方は、海外のオフィスデザインの中で実践を重ねながら整理されてきた経緯があります。集中したい・相談したい・リラックスしたいといった目的に合わせて場所を選べるワークプレイスの設計は、海外企業の試行錯誤によって効率化が図られながら広がってきた発想です。「はたらく」場所を会社が一方的に決めるのではなく、社員自身が選べるようにする考え方だといえます。
オフィスを企業ブランディングの一部として使う発想
海外のオフィスデザインでは、内装のカラーリングや壁面のアート、ロゴの見せ方、エントランスのデザインや本社ビル全体の演出などを通じて、オフィス空間そのものを企業ブランディングの一部として活用する発想も目立ちます。来訪者や採用候補者がオフィスを訪れたときに企業文化を体感できるようにすることで、企業イメージの向上や採用活動でのエンゲージメント向上、社内コミュニケーションの活性化に貢献している点が特徴です。コーポレートカラーや理念を空間に反映させたいと考える日本企業にとっても参考になる視点です。
環境配慮や持続可能性を重視する流れ
海外、特に欧米のオフィスデザインでは、環境負荷の低い建材や省エネルギー性能、廃材の有効活用など、持続可能性(サステナビリティ)を重要視する流れも広がっています。企業の社会的責任やブランディングの一環として環境配慮の姿勢を発信する海外企業も増えており、こうした視点も日本企業が参考にできる要素の一つです。
海外のオフィスデザインによく見られる3つの発想

海外の事例を見比べていくと、いくつかの共通する発想が繰り返し登場します。代表的な3つを紹介します。
ABW・フリーアドレスという考え方
ABWは、個人の執務デスクという固定的な単位ではなく、今の業務内容に合わせて働く場所を選べるようにする考え方です。フリーアドレスはABWの要素の一つとして席を固定しないことを指すことが多く、海外では開放的な集中ブース、オープンな執務スペース、コワーキングスペースのような共有ワークプレイス、ソファを置いたカフェのようなリフレッシュスペースなど、目的の異なる複数のフレキシブルなワークスペースを1つのフロアに併設して導入する設計が広がっています。
バイオフィリックデザインで集中とリラックスを両立する
バイオフィリックデザインとは、観葉植物や自然光、木目などの自然素材を空間に取り入れ、人が本来持っている自然環境への親和性を活かして快適さを高めるインテリアデザインの考え方です。海外のオフィスでは、明るい色合いを基調とした内装の中に緑を配置して周囲からの視線を和らげたり、休憩スペースに自然光が入る大きな窓を設けたりすることで、集中力の向上とストレスの軽減、気分転換のしやすさを両立させ、従業員が穏やかな気持ちで過ごせるリラックスルームとしても活用しながら、ウェルビーイング(wellbeing・心身の健康)を高める工夫がよく見られます。
ゾーニングで部署・業務ごとに空間を分ける
ゾーニングは、集中作業向けのエリア、チームでのミーティングエリア、来客対応のための会議室など、業務内容や部署の特性に応じてフロアを機能別に分ける設計手法です。島型の執務エリアだけでなく、可動式のパーテーションで緩やかに仕切る工夫を加えたオープンスペースや、オンライン会議に対応した個室ブースなど、細かく区切るゾーニングを組み合わせることで、1つのフロアの中に複数の働き方を共存させています。
世界的に知られる企業のオフィスに見える特徴

海外のオフィスデザインを調べると、同じ企業の名前が繰り返し取り上げられていることに気づきます。なぜ事例として広く知られているのか、その背景を見ていきましょう。
Google・Airbnb・Spotifyなどのオフィスで共通する工夫
Google、Airbnb、Spotifyといった海外のテクノロジー企業のオフィスは、デザイン事例を紹介する海外メディアで繰り返し取り上げられ、世界的に知られる存在になっています。シリコンバレーやニューヨークを拠点とする企業の事例では、カフェやラウンジのような居心地の良いリフレッシュスペースの充実、自社のサービスや企業文化を体現したインテリア、社員同士が自然に集まることができ、部署を越えた交流も生まれるオープンスペースの配置など、働く人々のコミュニケーションを促す工夫が共通して見られます。見た目のおしゃれさだけでなく、創造性やモチベーションの向上を生み出す明確なビジョンを持って設計されている点が特徴です。
デザインを手がける専門企業の存在
こうした海外の大企業のオフィスデザインの多くは、ゲンスラーのような世界的に展開するオフィスデザイン専門会社が手がけています。企業の文化や働き方を調査・分析したうえで空間に落とし込む専門性を持ち、1つの企業の中でも拠点や部門ごとに異なるコンセプトを設計するなど、大規模かつ体系的なアプローチを取ることが多いのも特徴です。こうした専門会社が手がけた事例は、世界中のオフィスビルやショールームで見ることができ、個々の企業が掲げる理念やスタイルに合わせて、洗練されたデザインから遊び心のある大胆な配色まで幅広いアプローチを提案しています。北米だけでなく北欧のオフィスにも独自の発想がありますが、気候や文化的背景が異なる分野のため、北欧のオフィスデザインについては別の記事で詳しく紹介しています。
個人主義と全体主義という文化的背景の違い
アメリカのオフィスデザインは、個人の裁量や役割を重視する個人主義的な思想を反映し、自分のスペースや働き方を自分で選べるレイアウトが好まれる傾向があります。一方、日本のオフィスは、組織としての調和を重んじる全体主義的な価値観のもとで、島型の固定席レイアウトが長く主流とされてきました。近年は日本でも個人の裁量や多様な働き方を尊重し、誰もが柔軟に働ける考え方が広がりつつありますが、全体主義的な協調性を完全に置き換えるのではなく、両者を両立させる視点でオフィスレイアウトを設計することが現実的だといえるでしょう。
海外の発想を日本のオフィスへ取り入れるときの注意点

海外の事例は発想のヒントとして参考になりますが、そのままの形で日本のオフィスに持ち込むと合わない部分も出てきます。取り入れる前に確認しておきたい注意点を紹介します。
賃貸オフィスの広さ・工事区分の違い
海外、特にアメリカのオフィスで紹介される事例は、1人当たりの執務スペースや建物の天井高・フロア面積が日本の賃貸オフィスより広いことが多く、そのままの配置を持ち込むと日本のオフィスでは窮屈になったり、通路や避難経路が確保できなくなったりすることがあります。賃貸オフィスの契約で変更できる範囲(工事区分)は物件ごとに異なるため、海外の事例にあるような造作や間仕切りの変更が、自社の契約条件の中で実現できるかを先に確認し、限られた面積の有効活用を図る工夫を取り入れることが必要です。
コスト感覚と気候・働き方の違い
海外の大企業の事例は、予算規模や社員数の前提が従業員数十名から数百名規模の中小企業とは大きく異なることが多く、同じ発想であっても自社の規模に合わせてコストを抑えた形に調整する必要があります。気候や日照条件、オフィスへの出社文化の違いもあるため、海外の事例をヒントとして捉え、自社の働き方や予算に合わせてアレンジする視点を持つことが大切です。
段階的に取り入れ、相談先を選ぶ
海外の発想をすべて一度に取り入れようとすると、コストが膨らみやすいだけでなく、実際の運用が社員に合わず使われないスペースが生まれることもあります。移転や内装のリニューアル(改装)といったタイミングに合わせて、自社の課題解決に役立つ革新的な発想から優先的に取り入れるのが現実的です。海外の事例や考え方に詳しく、日本の賃貸オフィスの条件や予算に合わせて調整しながら提案してくれるデザイン会社を選ぶことも、取り入れる際の重要なポイントです。
まとめ

海外のオフィスデザインは、働き方改革やイノベーションの促進、企業ブランディングとしての活用という発想が早くから実践されてきた分野です。ABW・フリーアドレス、バイオフィリックデザイン、ゾーニングといった発想や、Google・Airbnb・Spotifyなど世界的に知られる企業のオフィスに共通する工夫は、従業員のパフォーマンス向上や新しい価値の創出を意識した空間づくりとして、日本の中小企業にとっても参考になる部分が多くあります。一方で、賃貸オフィスの広さや工事区分、コスト感覚、気候や働き方の違いを踏まえ、自社の規模や課題に合わせて段階的に取り入れる視点が欠かせません。オフィスデザインのトレンドを体系的に知りたい方はオフィスデザインのトレンドのページもあわせてご覧ください。海外の発想を自社にどう取り入れるか迷ったときは、JOY Worksまでお気軽にご相談ください。オフィスデザインサービスや施工事例もあわせてご覧いただけます。
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